健康診断のすすめ
犬や猫などの動物たちは人よりも早く年をとります。大体5歳から8歳くらいで「中年」、それ以上で「高齢」になると言われています。人と同じで年齢を重ねるにつれて体の機能が衰えたり、病気になることが多くなり、中には飼い主さんの気づかないうちに進行する病気もあるので、気づいたときにはもう手遅れという可能性もあります。
そういったことにならないように、5歳を過ぎたころから、定期的な健康診断をおすすめします。内臓機能を調べる血液検査や、胸部、腹部のレントゲン検査などで、外側から見えない体の変化を発見できることもあります。場合によっては超音波検査なども行いますが、まずは実際に連れてきていただいて診察を受けてください。
健康診断のながれ
健康診断としての検査の項目については、実際に飼い主さんと相談して決定することになります。
普段から一緒に生活している飼い主さんの感じたこと、気になっていることは非常に重要な情報となります。
小さなことでも気になっていることは問診のときになるべくお話しください。
(1)問診
病院に連れてきて現在の状態をなるべく詳しくお話しください。元気があるか、食欲があるか、うんちやおしっこは十分に出ているかなど、最近特に変わったことがあったら教えてください。
(2)視診・触診・聴診
実際に目で見て、手で触って全身の状態を調べます。目や耳の中、口の中、皮膚の状態、関節の動きなどに問題がないか調べます。
聴診では聴診器を用い、心臓の音に異常がないか調べます。特に高齢の犬や猫では心臓の機能が衰え、飼い主さんの気づかないうちに治療が必要な状態になっている場合もあります。
(3)血液検査
肝臓や腎臓の機能も年齢とともに低下していきます。肝臓や腎臓などの機能は血液検査で調べることになります。また赤血球、白血球などの血球検査もあわせて行うことで血液の状態を知ることができます。
(4)X線検査
以上の検査で必要と判断された場合、または飼い主さんのご希望があれば、胸部、腹部を中心としたX線検査(レントゲン)を行います。胸部では心臓疾患の有無、その状態など、腹部では各臓器の状態や、お腹の中に腫瘍があるかどうかを調べることができます。また、ミニチュアダックス、ウェルシュコーギーなどの犬種では椎間板ヘルニアの発生が比較的多く見られますが、X線検査はそのような骨や関節の疾患の早期発見にも有効な場合が多くあります。心配だと思われるようなことがあればご相談ください。
(5)その他の検査
以上に挙げた検査で異常が認められ、さらに進んだ検査が必要な場合には、超音波検査や内視鏡検査も当院内で行うことができます。また、CT、MRI等の検査が必要であれば、検査可能な病院への依頼も行っております。